平成30事務年度における法人税等の調査事績の概要
令和元年11月
国税庁
―平成30事務年度における法人税等の調査事績の概要 ―
平成30事務年度における法人税等の調査事績の概要
- 海外取引調査で6,968億円(前年対比189.9%)の申告漏れを把握 -
国税庁は、このほど「平成30事務年度 法人税等の調査事績の概要」を公表しました。
平成30事務年度における法人税等の調査については、消費税還付申告法人事案、無申告法人事案、さらには海外取引法人事案などを主要な取組として実施したとしています。
特に、企業等の事業、投資活動のグローバル化が進展する中で、海外取引を行っている法人の中には、海外の取引先への手数料を水増し計上するなどの不正計算を行うものが見受けられることから、海外取引法人等に対して国外送金等調書をはじめとした資料情報等から選定し、租税条約等に基づく情報交換制度を積極的に活用するなどして深度ある調査に取り組み、海外取引等に係る非違があったもの4千4百件(前年対比97.0%)、申告漏れ所得金額6,968億円(同189.9%)を把握したとしています。
なお、詳細については「国税庁ホームページ(平成30事務年度 法人税等の調査事績の概要)」
を参照してください。
Ⅰ法人税・法人消費税の調査事績の概要
この調査事績の概要によりますと、法人税については大口・悪質な不正計算が想定される法人など調査必要度が高い法人9万9千件(前年対比101.3%)について実地調査を実施し、このうち法人税の非違があった法人は7万4千件(同101.8%)、その申告漏れ所得金額は、1兆3,813億円(同138.2%)、追徴税額は1,943億円(同99.8%)となっています。
また、法人消費税については、9万5千件(前年対比101.4%)の実地調査を実施し、このうち消費税の非違があった法人は5万6千件(同100.6%)、その追徴税額は800億円(同106.9%)となっています。
Ⅱ 無申告法人に対する取組
事業を行っているにもかかわらず申告をしていない法人を放置しておくことは、納税者の公平感を著しく損なうものであることから、事業を行っていると見込まれる法人税無申告法人2千6百件(前年対比103.5%)、消費税無申告法人1千9百件(同100.5%)に対し調査が実施され、法人税75億円(同151.4%)、消費税66億円(同112.7%)、合わせて142億円(同130.5%)が追徴課税されました。
この中には、稼働している実態を隠し意図的であった法人税無申告が488件ありました。
Ⅲ 源泉所得税の調査事績
源泉所得税の調査事績の概要によりますと、11万6千件(前年対比100.4%)の源泉徴収義務者について実地調査を実施し、このうち、源泉所得税の非違があった源泉徴収義務者は、3万6千件(同100.6%)で、その追徴税額は370億円(同121.8%)となっています。
Ⅳ 海外取引法人等に対する取組
海外の取引先への手数料を水増し計上するなどの不正計算を行うものが見受けられることから、このような海外取引法人等に対しては、国外送金等調書や租税条約等に基づく情報交換制度を積極的に活用するなどにより1万6千件(前年対比95.0%)について深度ある調査を実施し、このうち、海外取引等に係る非違があった件数は4千3百件(前年対比97.0%)、申告漏れ所得金額は6,968億円(同189.9%)となっています。